抄録
本研究ではファッションブランドショップのタイプによる立地動向の違いを明らかにする.
日本において現在,ファッションブランドショップは大半が百貨店やショッピングセンターのテナントとして出店しており,自前でビルを構え公道に面して出店する路面店は,東京でいえば青山か渋谷,銀座,大阪では心斎橋から堀江地区にかけて位しか見られない例外的な存在である.このような店は本店とは異なるものの旗艦店と称され,かなり広域からの来店者にすべての品揃えを見せるショールーム的な要素と,シンボル的存在としてそこに来なければ買えない限定品を提供するアンテナ店としての要素をもつといえる.ブランドショップのビジネスモデルとしては,このような旗艦店を軸に全国津々浦々の百貨店あるいはショッピングセンターに出店する支店によって全国に商品を提供し,消費者にとって手近なところでもほぼ同じように買い物ができるスタイルをとっているが,そのシステムのシンボルとして旗艦店の立地と運営は重要である.
本研究ではブランドのタイプによって異なる旗艦店の立地とそれらの特徴をもとに,そこに買い物に来るいわゆる高感度層も含めたファッションにおける流行発信源の実態を明らかにすることを目指した.その結果,海外からの輸入あるいはライセンスに基づくインポートブランドは主に銀座に,国内に本拠を置くドメスティックブランドは青山にと旗艦店の立地が異なる.