日本地理学会発表要旨集
2015年度日本地理学会春季学術大会
セッションID: 917
会議情報

発表要旨
千葉市和菓子店の創業からの年数と出店場所の特徴
*植草 昭教
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録


和菓子は、茶道と深い関わりがあると言われ、茶道は安土桃山時代以降武士の間で広まった。このため武士が統治したかつての城下町へ行くと、和菓子店を見かける機会がある。各都道府県庁所在地は旧城下町であったところが多いが、千葉市は江戸時代に城下町ではなかった。そのような千葉市が2011年市政施行90周年を迎えた折に開催された写真展で昭和40年代には存在していたが、現在では無くなっている饅頭屋が写っているのを見たことから、かつて千葉市の和菓子店は何店くらいあり、現在は何店くらいになっているのかを知りたいと思った。しかし、過去の和菓子店数はわからなかった。そこで、現在ある和菓子店は何店あり、どこに出店しているのかを調べることにした。NTT東日本職業別電話帳に掲載されている和菓子店をもとに、百貨店やショッピングセンターなどに住居表示があり、全国展開をしているような和菓子店を除き、2012年に実際に訪問して「創業はいつ、または創業から何年位経っているのか」「店舗と同じ場所で和菓子の製造をしているのか」などの聞きとりを行った。その結果31店の製造・販売を行っている和菓子店があることが確認できた。その和菓子店が出店している場所は宅地、商店街、団地付近と認識できた。その和菓子店の出店場所で特徴的と考えられたのが、千葉市中央区の本町通り付近と団地周辺と思われた。本町通り付近には千葉県庁や千葉市中央区役所などの役所などがあり、商店街も形成されている千葉市では歴史ある通りであり、本町通りの和菓子店は歴史ある和菓子店が多い。また昭和40年代に創業した和菓子店も多いが、昭和40年代には千葉市でニュータウン開発が活発に行われた時期である。千葉市は「武士-茶道-和菓子」の関係性は薄いと考えられるが、このような千葉市に出店する和菓子店の特徴は、歴史のある通りと人口の集中する団地に近接した場所に出店していることが今回の調査で認識できた。
著者関連情報
© 2015 公益社団法人 日本地理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top