抄録
本論文は2004年インド洋大津波と2011年東北地方太平洋沖地震津波それぞれの人的被害と建物的被害の特徴を比較した.比較の結果,人的被害は過去に発生した津波による経験,防災認識,警報システム,構造的な防災施設等により、同等の津波外力であっても,国・地域によって,人的被害の程度が変わり,建物被害についても国の構造設計基準や工事現場の品質管理によって異なることが分かった.このことから,将来の津波被害を予測する際には,上述した国・地域の背景,地形,物理的な違いを十分に把握し,妥当な適用方法を考慮する必要がある.