日本地理学会発表要旨集
2017年度日本地理学会秋季学術大会
セッションID: S607
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発表要旨
日本のスキーリゾートにおけるインバウンド・ツーリズムの発展
複数リゾートの比較分析
*呉羽 正昭
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抄録

日本では,1990年代初頭までバブル期にスキー観光が著しく発展した。その時期,さらには高度経済成長期前後にも多くのスキー場開発がなされたが,1995年前後以降はスキー観光自体が著しく衰退している。その結果,スキー場や宿泊施設など,スキーリゾートの諸施設の経営は大きく悪化した。それゆえ,スキー場索道経営会社の変更が頻繁に生じたり,スキー場自体が休業や閉鎖に追い込まれる事例が多く発生している(呉羽 2017)。  こうした日本におけるスキーリゾート問題解決の救世主となったのは外国人スキーヤーの訪問である。スキーをめぐるインバウンド・ツーリズム発展の契機は,2000年前後に生じたニセコ地域でのオーストラリア人スキーヤーの増加である。その増加要因には雪質の良さや「9.11」以降の北米スキーリゾート滞在離れがあると言われている。その後,山形蔵王,妙高赤倉,野沢温泉,八方尾根などのスキーリゾートにもこの現象が派生した。宿泊施設の経営不振・廃業などが続いていたスキーリゾートでは,インバウンド・ツーリズムの発展にともなってさまざまな変化が生じている。本研究では,インバウンド・クラスターとしてのスキーリゾートにおける諸変化について複数事例の比較分析を通じて明確にする。さらには,インバウンド・ツーリズム発展による問題点について整理する。
付記:本研究はJSPS科研費15H03274の助成を受けたものである。
文献 呉羽正昭 2017.『スキーリゾートの発展プロセス:日本とオーストリアの比較研究』二宮書店.

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