巨大化する「認定こども園」の子どもにとっての適正規模
100032 Appropriate size for the massive expansion of ”Certified centers for Early Childhood
Education and Care“
南 泰代 (奈良女子大)
Yasuyo MINAMI (Nara Woman’s Univ.)
Keywords: Certified centers for Early Childhood Education and Care, Scale, nursery teachers, Appropriate size
認定こども園、 規模、 保育者 適正規模
背景
2006 年に創設された認定こども園は、幼稚園部門は学校教育
法、保育所部門は児童福祉法に基づく認可であった。しかし、2007
年 105 園、2011 年 762 園、2013 年 1,099 園と政府の目標の 2,000
園には届かなかった。南の 2013 年調査時点では、1110 園中、301
人以上が 40 園、401 人以上だ 14 園、501 人以上が 4 園、601 人以
上が 2 園であった。認定こども園の巨大化が進んでいた。
2014 年 8 月 22 日「認定こども園法」の改正により、学校及び児
童福祉施設としての法的位置付けを持つ単一の施設として、新た
な「幼保連携型認定こども園」が創設された。法改正後、認定こど
も園は 2,836 園になり、2016 年には 4,001 園に急増した。401 人
以上は秋田 1、千葉 1、栃木 3、東京 8、埼玉 2、新潟 1、滋賀 1、
愛知 2、兵庫 4、大阪 1 と増加した。451 人以上は茨木 1、東京 1、
埼玉 1、滋賀 1、兵庫 1、501 人以上は東京 1 であった。さらに、
601 人以上は福島 1、兵庫 3、701 人以上は兵庫 1 とさらに巨大化
が進んでいた。
目的
認定こども園の保育者 1 人に対する園児数の基準はあるが、定
員や規模の基準はない。認定こども園の保育者の全保育者・全園児
との具体的な関り等の質問から、子どもにとっての認定こども園
の定員の上限や適正規模について明らかにする。
方法
2016 年 4 月時点の全国 4001 園の認定こども園を、都道府県ごと
に定員を 1-50 人、51-100 人、101-150 人、151-200 人、201-250 人、
251-300 人、301 人以上に区分した。区分ごとに各1園、都道府県
ごとに選択した。区分のない部分は除外し、調査対象 209 園に保育
者と施設に 2016 年 8 月に直接質問紙を郵送した。
保育者への質問は、2009 年から 2016 年までの三重県、高知県、
島根県、青森県、大阪府の幼保一体施設・認定こども園の園長、施
設長、幼稚園教諭、保育士、保護者への聞き取り調査と三重県伊勢
市の認定こども園の園長、保育者と相談の上作成した。
保育者交流については、全保育者とできている、3.4.5 歳児担任
とできている、4.5 歳児担任とできている、同学年担任とできてい
る、園長・施設長とできているから選択とした。園児交流について
は、全園児とできている、3.4.5 歳児とできている、4.5 歳児とで
きている、同学年児とできている、担任児とできているから選択と
した。有効回答は保育者 687 人である。
集計結果を 80%以上を 4 点、60%以上を 3 点、40%以上を 2 点、20%
以上を 1 点、20%未満を 0 点として割合をみた。
結果
全保育者とチームワークがとれている、全園児と送迎保護者が
一致する、全園児の保護者と園児の話ができるは 51 人以上の施設
で減少した。全保育者と園児の事で相談できる、全園児の顔と名前
が一致する、全園児と話ができるは 151 人以上の施設で割合が減
少した。1-50 人の施設で割合が高かった。保育者交流と園児交流
の割合は高い方が園児にとって保育環境が良いと考えられる。51
100、101-150 人の施設で割合が高い。151-200 人、201-250 人、251
300 人、300 人以上の施設で割合が低い。1-50 人で非常に高く、51
100 人でも高い結果となった。子どもにとっての認定こども園の適
正規模は 150 人と考える。
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