抄録
高等学校において2022年から実施される新しい教育課程では,地理歴史科に「地理総合」と「地理探求」が新規科目として設置される.これまでの「地理A・地理B」という構成を抜本的に変え,「地理総合」は必履修科目であり,全ての高校生が地理を履修することになる.これにより的確な地理的知識や地理的技能を身に着けて思考・判断できる人材が,社会に輩出されることを願われる.
新しい教育は理念として優れている一方,先進的であるために導入に向けて多くの障壁がある.新設の「地理総合」も例外でなく,新設科目を生徒が良い状態で学べる環境を実現するためには,到来した地理必修時代の意識を社会全体で高め,学界もまた各方面で支援をしていくことが重要である.
一方で,国民の地理的知識や地理的技能に関する社会的認知度は決して高いとはいえず,普及啓発に向けた取り組みが求められている.そのような背景から地理・地図関連学会においてシンポジウム開催し,産官学の地理に関わる関係者全体の連携を深め,現場教員,学校管理職,教育委員会といった教育方面の支援にむけた地理・地図の普及啓発を進めていく.