日本地理学会発表要旨集
2017年度日本地理学会春季学術大会
セッションID: 304
会議情報

発表要旨
東南アジアにおける地方拠点中小企業の展開
東かがわ手袋企業のフィリピン・ベトナム進出の事例
*平 篤志
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

本研究は,東南アジアにおける地方拠点中小企業の展開の特徴を明らかにすることを目的とする。日本においては,1980年代以降大企業の海外展開が活発化したが,その後中小企業の海外展開も増加している。四国では,香川県東部に展開し,現在なお高い国内市場占有率を有する手袋産業がその例である。当該産業のユニークな点は,人材確保難もあって,1970年代から海外展開を開始したところにある。当初,近隣諸国から進出を開始したが,その後中国が主要生産基地となった。最近では,「チャイナ・プラス・ワン戦略」として,東南アジアへの進出が加速している。事例として取り上げるA社は,付加価値の高いスポーツ系・ファッション系手袋を生産する地場の代表的な企業の1つである。A社は,1970年代に近隣諸国に進出した後,中国とともに1986年にフィリピン,1991年にベトナムに進出し,これら2国を主要生産拠点としている点に特徴がある。そして,これら2国での現地法人運営に当たって,それまでの人的資源を国境を越えて活用している点(パイプライン)が注目される。

著者関連情報
© 2017 公益社団法人 日本地理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top