抄録
本研究で事例として取り上げている兵庫県川西市黒川は、川西市の北部・北地域に位置しており、大阪府能勢町と豊能町に挟まれた地域である。また、猪名川渓谷県立自然公園普通地域及び北摂連山近郊緑地保全区域に指定されており、茶席の高級炭「菊炭」の生産地として「日本一の里山」と称されている。その菊炭の原材料は台場クヌギであり、この山のクヌギの木を切り出して炭を焼くといった室町時代から続いている菊炭産業や、生息する生物の多様性からそのように言われてきたのである。しかし、その菊炭の生産者は、既に1軒となり、人の手が必要な里山の景観を保全することが困難となってきた。そこで、本研究では、古写真の収集を契機に地域住民とのコミュニケーションを通じて、黒川エリアのまち活性の機運を高めることが可能かどうかを考察する。