日本地理学会発表要旨集
2017年度日本地理学会春季学術大会
セッションID: S1508
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発表要旨
観測所の移転による気温日変化の補正
-19世紀・函館(ロシア領事館)気象観測データの事例-
*三上 岳彦財城 真寿美
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キーワード: 気象観測, 日変化, 気候変動
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抄録
デジタル化された気温や気圧の観測記録を現在の近接気象庁観測データと接続する場合には、観測単位、観測時刻・回数、観測場所(海抜高度)などによる誤差を補正する必要がある。レスキューされた19世紀の気象観測データの「均質化」と「補正」には様々な方法が試みられているが、今回は観測所の沿岸部から内陸部への移転に伴う気温日変化パターンの変化とその補正について、函館の19世紀・ロシア人による観測記録の補正と気象庁函館気象台移転の補正を事例に分析・考察を試みた。
函館市内2カ所に設置した温度ロガーの観測データと函館気象台およびAMeDAS観測所の2016年7月・時別平均気温から、日変化パターンの内陸部と沿岸部での差異を明らかにした。それらを、1859年~1862年のロシア領事館での気象観測データと比較した結果、現在に比べて1860年前後の7月平均気温は3.8℃低いことが明らかになった。筆者らによる研究では、1860年代の夏季の気温は高めであったと推定されており、日本国内での気温差の存在が示唆されるが、さらに検討する必要がある。
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© 2017 公益社団法人 日本地理学会
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