日本地理学会発表要旨集
2017年度日本地理学会春季学術大会
セッションID: 136
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発表要旨
地形学に基づいた防災教育について
*小荒井 衛
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抄録

筆者が茨城大学で教えている防災・応用地学に関連した科目について、今後の防災教育のあり方や地形学の知識を防災に役立てることを念頭において、受講直後と受講終了直前にアンケート調査を行っている。そのアンケート結果の紹介と、そこから読み取れる状況について報告する。対象講義は、理学部地球環境科学コースの3年生を対象にした「防災地質学」と、人文学部と教育学部の1年生を対象にした教養科目(自然)の「身近な地球科学(地球科学と防災・環境)」である。科目のレベルの違いはあるものの、地形学をベースにした防災地学を教えているという視点では、似たような科目である。教養科目の方のシラバスでは、到達目標としては、高校地学の基礎知識を身に付ける、地形形成過程から地域の防災リスクを読み解く能力を身に付ける、地球科学の知識をベースにした防災リテラシーを身に付ける、などとしている。一方、防災地質学のシラバスでは、教養科目の後半2つの到達目標はほぼ同様であるが、実際には反射実体鏡を用いて空中写真の実体視を行い、特定の地域の地形分類図を作って、そこからその地域の災害リスクを読みとるような実習を行っている。また、迅速測図や旧版地形図、米軍写真などをインターネットで検索して、学生の好きな地域について(大体は自分の故郷を選ぶ学生が多い)、土地履歴変遷を読み解いて、その地域の災害リスクを解説するレポートも課している。

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