日本地理学会発表要旨集
2017年度日本地理学会春季学術大会
セッションID: S0301
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発表要旨
地名標準化の現状と課題-地名委員会(仮称)の設置に向けて-:趣旨説明
*高木 彰彦
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抄録

1.シンポジウム開催の背景
地名は特定の土地に付与された名称である。しかし、その名称や表記をめぐっては国際的にも国内的にも統一が困難で、ある。そこで、国連は1967年に国連地名標準化会議(UNCSGN) を開催し、国境や領土の変動、少数民族文化の尊重、旧植民地の解放に伴って内生地名が外来地名に優先する原則を主導するとともに、各国に地名標準化の行政機関を設置するよう勧告し、技術的問題を扱う地名専門家会合(UNGEGN)を設置し、研究・勧告を続けている。その結果、世界の主要国にはこうした機関が設置されているものの、日本には未だに地名標準化に係る行政機関は存在しない。こうした現状に鑑み、日本学術会議IGU分科会では国際地図学協会(ICA)小委員会と連携し、「地名小委員会」を設置して検討を重ね、地名委員会設置のための提言作成の準備を進めている。

2.シンポジウムの概要
 上記の目的を達成すべく、日本学術会議IGU分科会地名小委員会では、こうした問題の存在を広く周知し、関心を高めるために、まず、日本地理学会で公開シンポジウムを開催し、学会員や一般の方々にも地名標準化について周知するとともに、理解を深めていただくこととした。本シンポジウムでは、日頃、こうした問題に取り組んでいる専門家の方々に登壇していただき、地名標準化について、学会のみならず国民の皆様に考えていただきたいと考えている。
 本シンポジウムでは、趣旨説明のあと、森田 喬氏に「国際地図学協会の動向」についてご報告いただき、次いで、渡辺浩平氏に「国連地名標準化会議の動向」についてご報告いただく。その後、国内における地図作製の立場から、国土地理院の水田良幸氏に「国土地理院の地名に関する取り組み」についてご報告いただいた後、教科書会社の立場から、帝国書院の本田智比古氏に「教科書における地名表記に対する取り組みと課題」についてご報告いただく。休憩のあと、以上の報告を踏まえて、日本学術会議IGU分科会・地名小委員会が取り組んでいる「地名委員会(仮称)提案の趣旨」について田邊 裕名誉会員からご報告いただく。その後、総合討論(司会:岡本耕平・高木彰彦)に入り、フロアーからの意見も交えて、「地名標準化問題の周知と今後の検討課題について議論を深めたい。

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