抄録
本研究では,都内の住宅団地における移動販売車の移動履歴と購買履歴の各データを組み合わせて,商品の購入場所と購入商品の関係を表すデータベースの作成を行った.さらに両者の関係性についての分析を行い,移動販売の買い物弱者対策としての意義・課題を検討することを研究の目的としている。
東京都の高島平地域・中板橋地域・大塚地域を対象としたデータ収集と分析の結果、以下のことが明らかになった。
1) 高島平地域では最寄り店舗から遠い場所での商品購入が多く、店舗から遠い地区の住民の利用が多い、2) 商品の購入が多かったのは団地や高齢者施設付近であり、特に店舗までの移動に上下移動を要する団地での利用が最も多かった。3) 購入回数の上位の商品には,生鮮食料品、惣菜などの高齢者の食事摂取を支える重要な商品が多かった。
これらより、今回対象とした移動販売事業は、買い物弱者対策として機能している可能性が示唆された.