日本地理学会発表要旨集
2018年度日本地理学会春季学術大会
セッションID: 417
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発表要旨
沖縄本島最北部における森林伐採後の土砂移動量と林床環境との関係
*大貫 靖浩生沢 均古堅 公
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抄録
資源活用を目的とする伐採という人為的なインパクトが、林床環境にどのような影響を与えるのかを定量的に把握するための一環として、沖縄本島北部の森林伐採地に試験地を設定して土砂移動量を実測し、傾斜や植被率との関係について検討した。梅雨、台風、冬季の降雨のそれぞれの影響は冬季<台風<梅雨の順に大きく、特に重機による林床攪乱が大きかったプロット内では台風の降雨後に非常に高い値を示した。冬季の総降雨量は台風の総降雨量より多いが、降雨強度が小さいため土砂移動量は少なくなったものと推察される。また、林内であっても、傾斜の急なプロットにおいては、皆伐地のプロットと同程度の土砂移動量を示した。一方、土砂受箱周辺が下層植生でほぼ覆われている皆伐地のプロットでは、降水量の多寡にかかわらず林内のプロットと同程度の小さい値を示した。植被率と土砂移動量の関係を検討したところ、植被率が100%もしくはそれに近ければ、下層植生は土砂流出を止める大きな効果があるが、植被率が50%程度の場合、土砂移動量は傾斜に大きく規定されることが明らかになった。
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