日本地理学会発表要旨集
2018年度日本地理学会春季学術大会
セッションID: 634
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発表要旨
東京都新宿区新宿二丁目におけるゲイバーの立地傾向と再生産構造
*須崎 成二
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抄録

日本の都市空間における同性愛の表象は,一般的にゲイバーの立地が集中する商業空間でなされ,セクシュアリティに関する研究では,主にそれらを利用するゲイ男性に焦点があてられてきた.しかし,セクシュアリティと空間との関連を議論するうえで,対象とする空間の詳細な記述は今までにされてこなかった.

 そこで,本報告では,東京都新宿区新宿二丁目における土地利用とゲイバーの立地を踏まえ,ゲイバーの集積地としていかに存続・再生産されているかを明らかにすることを目的とした.
 上記を明らかにするため,対象地域の土地利用を把握し,新宿二丁目振興会」が発行する「2丁目瓦版」およびゲイバーの住所が掲載されているゲイ男性向けホームページと,実地調査からゲイバーの立地するビルを把握した。ゲイバー集積地区の再生産構造に関しては,新宿二丁目における物件供給に着目し、不動産関連企業及び物件の所有者への聞き取り調査を行った.
 その結果,ゲイバーを異性愛者利用可能店舗(「ミックス・観光バー」)と利用不可店舗(「ゲイメンズバー」)に分類すると,それらの立地傾向には平面的・垂直的な差異がみられた.また,新宿二丁目におけるゲイバーの出店は,物件供給側のキーパーソンの存在,「リース店舗」が圧倒的割合を占めていること,ゲイ男性のカミングアウトの問題を克服することで,再生産が容易になっている.
 新宿二丁目は今後もゲイバー集積地区として持続可能な構造が存在しているが,ゲイバーの集積は均質ではなく,形態によって空間的に分化している.

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