抄録
これまで大雪山の永久凍土分布の下限高度付近では、観測はほとんど行われていなかった。そこで、下限高度付近の風衝砂礫地において、地表面温度を観測し、永久凍土の存在の可能性を推定した。その結果、風衝砂礫地での永久凍土の分布下限高度は、永久凍土の存在が確認されている標高2020m地点と同等の地表面温度である1755m付近と推定された。しかし、標高1755m地点において10m以深のボーリングを行い、地温観測を行った結果、この推定に反して、永久凍土は確認できなかった。一方、標高1885m地点では、地表面温度が標高1755m地点におけるよりも高い値を示したが、地温観測の結果、永久凍土の存在が確認できた。