抄録
東九州の日降水量データを使用して,1901~2000年における日本の台風経路の変化について明らかにした.宮崎・大分の8月の日降水量データから東九州に地形性レインバンドをもたらす台風を定義したところ,1951年以降にこのような台風の数が減少していた.これは1951年以降に見られる北太平洋高気圧の南西へのシフトが原因であると考えられる.また,東九州と日本の51地点の気象官署の降水量との関係から,1951年以降に台風経路が南西にシフトしていることが示唆された.東九州において台風による降水量が年々減少していることも明らかにされたが,これは台風の北上する速度が速まっていることが原因の1つであると考えられる.