日本地理学会発表要旨集
2019年度日本地理学会春季学術大会
セッションID: 301
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発表要旨
戦時下の地理教育論に関する考察
新しい評価の提示
*山口 幸男
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抄録
わが国の戦時下の地理教育は「軍国主義、超国家主義に基づき、わが国を思い上がったアジアの指導者にするための国家の政策に加担した政治の碑女としての地理教育であった」とまとめられるのが、後世(戦後)における戦時下の地理教育に対する大勢の評価ではなかろうか。それゆえ、戦時下の地理教育はただただ否定され続けられるだけの悪の存在であり、触れてはならぬタブー的存在であった。しかし、戦時下という状況の中においてこそ、平時ではみられない地理教育の在り方に関する見解・議論が浮かび上がってくる可能性がある。それゆえ、戦時下の地理教育論に本格的に向き合うことは、地理教育の本質的なあり方を検討する上で大きな意味を持つといえる。それはまた、地理教育の戦後を終わらせる上での不可欠な作業であり、戦前・戦後にまたがる地理教育史再構築の上での重要な作業でもある。本発表では、戦時下の地理教育に関する論点のうち「時局と地理教育」を取り上げ、地理教育本質論の立場から考察する。そして、その考察を踏まえて戦時下の地理教育論に対する新しい評価を提示したい。
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© 2019 公益社団法人 日本地理学会
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