抄録
インド亜大陸北東部は、アジアモンスーン降水の中心域の一つであり、当該地域の降水プロセスの長期間の変動を明らかにすることは、気候変動影響を明らかにするうえで極めて重要である。長期間の気候変動を記述するためには、降水特性を長期間にわたって記述するデータが不可欠である。われわれの研究グループは、この観点から、インド亜大陸北東部の長年の降水特性の長期変動を明らかにするため、多様なデータレスキューを推進してきた。本報告では、以下に記す多岐にわたる気象データレスキューと、それらのデータを用いた気候変動の解析結果の概要を述べる。具体的には、①旧英領インド日降水量のデータレスキュー、②現地新聞によるシビアローカルストームデータベースの構築、③インドアッサム州の茶園の気温・降水量観測のデータレスキュー、の3点について取り上げる。