抄録
本研究では,盆地内で広範囲にわたって定点型の気象観測をおこない,霧の時空間的特徴について明らかにした.気象官署で観測された気象データを用いて,1951~2017年の計68年間における津山市における霧の季節性およびその経年変化について調査した.その結果,1950~1970年代にかけては,年間100日を超える霧の発生が確認されていたが,その数は減少傾向であった.津山の霧発生日数の年平均は82日であり,10~12月の3カ月間で38日である.これは,年間のおよそ50%近くを占めており,季節での発生頻度に大きな差が認められた.また,広域的な気象観測の結果から津山盆地における霧の発生は,17時頃にもっとも北側の谷筋部分から徐々に湿数が低下し始め,2時間程度で盆地全体に広がった.しかしながら,市街地中心部の湿数は約3℃であった.その後も湿数は低下し続け,22時には盆地内すべての観測地点で湿数が1.0℃以下となった.この結果は,上甲ほか(2002)で報告されている南側からの流入とは異なっていた.