日本地理学会発表要旨集
2019年度日本地理学会春季学術大会
セッションID: S305
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発表要旨
昭和期の顕著台風に伴う大雨
*釜堀 弘隆
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抄録

日本は世界的に見て台風の影響を非常に受けやすい地域にあり,これまでも大きな台風災害を度々経験してきた。顕著な台風災害としては,昭和の三大台風(室戸台風,枕崎台風,伊勢湾台風)がよく知られている。伊勢湾台風や室戸台風では強風被害・高潮被害が大きかったが,大雨による被害も無視できない。実際,枕崎台風では大雨により広島県で大きな被害が出ている。ここでは,日本において台風に伴う大雨ポテンシャルがどのように分布しているのかを過去の観測データを基に調べた。気象官署やアメダス観測を基に作製された格子点雨量観測データ(APHRO_JP)から台風に伴う雨を抜き出すと、太平洋側で多く、日本海側で少ないと言うコントラストがあることが分かる。太平洋側の地域でも特に大きいのは、九州東部・四国南部・紀伊半島東部であり、最大値は500mm/yrに達する。アメダスが全国展開されたのは1976年であるので、それ以前の期間についてはAPHRO_JPは台風雨量の詳細を表現できていないと考えられる。そこで、アメダスの前身である区内観測を電子化したものを用いて、昭和期の顕著台風に伴う雨の分布を調べた。一例として、伊勢湾台風では上陸前後の雨量が800mmを超える地点があり、これは年間の台風雨量の気候値を大きく超える値である。

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