主催: 公益社団法人 日本地理学会
会議名: 2020年度日本地理学会秋季学術大会
開催日: 2020/10/10 - 2020/11/22
地域学および地元学の流れを整理し、報告者自身が関わった2つの学問的試み、「都市民俗生活誌」の研究・発信、「なら学」の研究・発信を、その流れの中で位置付けてみたい。地域学は学校教育、社会教育、生涯学習の分野で1980年代から始まった。一方、地元学は結城登美男、吉本哲郎らが提案、実践した運動、住民自身による地域の魅力探しの運動である。地域および地域生活をどう考えるかは、地理学の重要な命題であろう。報告者は2000年代以降、「都市民俗生活誌」資料の整理および発信、「なら学」研究の発信に努めてきた。前者については共編著『都市民俗生活誌(全3巻)』(明石書店)、編著『都市民俗生活誌文献目録』(岩田書院)等として発信し、後者については共編著『大学的奈良ガイド』(昭和堂)に影響され、全国各地の研究者のより、それぞれの地元をフィールドにした『大学的○○ガイド』(昭和堂)が既に20編も公刊されている。報告者による2つの学問的試みは、地域のふだんの生活世界を評価すること、既に知られた観光資源等ではない魅力を発掘・研究すること、動態的な地域/地元を確認すること等である。