日本地理学会発表要旨集
2020年度日本地理学会秋季学術大会
セッションID: P133
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発表要旨
ネパール・カトマンズ盆地流域の水環境に関する研究(2)
*齋藤 圭猪狩 彬寛常陸 民生小寺 浩二
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抄録

急激な都市化および人口増加が進むネパールの首都カトマンズでは、多くの社会・環境問題を抱えている。特に、上水道を中心とした水資源問題や不十分な排水処理による河川や地下水の汚染といった水環境問題については、早急に対応しなければならない課題として、国内外から注目されている(例えば、中村ほか,2014)。しかし、カトマンズ盆地における研究の多くは飲料水に直結する地下水に関するものが多く、河川に関する汚染問題については数少ない。この問題の解明を目指し、我が研究チームでは、カトマンズ盆地流域を中心とした水環境調査を計画している。本研究では、2020年2月28日から31日かけて行ったカトマンズ盆地流域での予察調査の結果を基に、カトマンズの都市域の水環境の現状について報告を行う。

 結果として、カトマンズ盆地流域におけるECの高さは、主に2つの地域に分類することが出来る。1つは、カトマンズ市街地が位置する盆地底部で、もう1つは、古都バクタプルが位置する盆地東部である。カトマンズ市街地では、中心地であるタメル地区から北へと住宅地が広がっているため、ECの高さもそれに沿うように分布している。一方、バクタプルでは、住宅地の広がりがみられないため、周辺と都市部でのECの差が大きい。また、この2つ以外の地域でのECは比較的低い値であるのものの、地点によっては300μS/cmを超えるため、良い水質とは言い難いのが現状である。

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