広域におよんだ豪雨を地図で俯瞰する
2018年6月末から7月上旬にかけ、西日本に梅雨前線が停滞した。特に、7月6日から7日にかけては線状降水帯が次々と発生し、「雨が少ない瀬戸内式気候」と教わった地域でも記録的な大雨となった。広島県内では土砂災害が頻発し、岡山県倉敷市真備町では水害により多数の高齢者が犠牲となった。
2019年10月12日から13日にかけ、「狩野川台風級」と警告された台風19号が関東を北東進した。関東から東北にかけての山地南東斜面を中心に記録的な大雨となり、千曲川・阿武隈川などの大河川も氾濫した。また、堤防が持ちこたえても、内水氾濫が発生した地域もあった。車での避難・帰宅途中に被災した事例が多かった。
自然災害を教訓とするには、その教材化が必要である。地理教育においては、地図教材で何を表現し、何を読み取らせるのがよいのだろうか。平成晩年から令和初年にかけて発生した広域豪雨について、地図で概観しながら考えてみたい。