主催: 公益社団法人 日本地理学会
会議名: 2020年度日本地理学会春季学術大会
開催日: 2020/03/27 - 2020/03/29
Ⅰ.はじめに
サンゴ洲島は,サンゴ砂礫や有孔虫の死骸が波によって浅海底に運搬,堆積してできた島である.日本最大のサンゴ洲島である久米島ハテノハマ洲島の標高は高いところでも3m程度であるため,波浪による営力で絶えず地形が変化している.その主な営力は,台風による波浪であると指摘されている(長谷川,1990).しかし,サンゴ洲島の形成・維持するメカニズムについては不明な点も多いため,過去から現在の洲島の状況をモニタリングする意義は大きい.また,温暖化による海水準上昇や人為改変などによってバランスが崩れた場合の影響を検証するにもモニタリングは不可欠である.
頻繁に地形を変えるハテノハマ洲島であるが,2.5万分の1地形図では,1973年測量の洲島の形状が現在でも使われている.そのため,地形図からハテノハマ洲島の地形変化をモニタリングすることはできない.そこで,本研究はハテノハマ洲島を撮影した空中写真や衛星画像およびドローンを用いて洲島の地形変化を把握し変化のプロセスを追跡し,地形を変化させる要因を明らかにすることを目的とする.
Ⅱ.解析方法
入手したハテノハマ洲島周辺の空中写真は1945年の米軍空中写真(沖縄県立公文書館所蔵)が最古であり,その後,1962年に米軍,1970年に琉球政府がそれぞれ撮影し,沖縄返還後は国土地理院が定期的(1974年,1978年,1984年,1991年,1994年,2003年)に撮影した8時期の写真である.また,衛星画像はLANDSATシリーズ(1977年 ~ 現在),Sentinel-2(2015年 ~ 現在)などが定期的に観測しており,おおむね雲の無い日の画像を入手した.これらリモートセンシングデータからハテノハマ洲島を面的に形状把握した.原理的には視差のある空中写真から3次元の把握はできるか,洲島の地形変化を議論できるような精度では計測できなかった.そこで,ハテノハマ洲島の3次元情報を取得するために2018年1月27日,2019年2月17~18日の2回にわたって,ドローンおよびRTK-GNSSを用いて計測を行った.
Ⅲ.地形変化
ハテノハマ洲島のモニタリングにあたって,まず空中写真から洲島の地形変化を時系列に解析した.その結果,1945年から現在にかけて面積が増加する傾向を示した.しかし,空中写真の撮影季節にバラツキがある(春1,夏1,秋3,冬5)ため,季節による地形変化の影響が大きく,その年の面積を代表しているわけではない.一方,衛星画像(特にSentinel-2)から2015年〜2018年(データ数:24シーン,春6,夏7,秋6,冬5)の季節による地形変化をみると,30 〜 70haの変動幅があり,平均すると47.8haとなった.しかし,この変動幅の主な要因は潮位であることがわかった.衛星通過時の潮位が高いと洲島面積は減少し,潮位が低いと面積は増加する傾向を示した.前述したようにハテノハマ洲島の標高が0~3m程度であるため,空中写真・衛星画像を用いたモニタリングでは季節変化や潮位の影響を除かなければならない.そのため,海岸線の抽出方法については検討の必要がある.
次に,空中写真・衛星画像のモニタリングでは面的にしか把握することができない.サンゴ洲島の地形変化を把握するためには,3次元情報は必須である.そのため,ハテノハマ洲島(前浜,高浜,中浜,果浜)の基礎的な資料を作成するために,ドローンを用いて空撮を実施した.表1にハテノハマ洲島の面積(ha),体積(㎥)および平均標高(m)をまとめた.この結果を空中写真・衛星画像に組み合わせることで,より精度の高いモニタリングが可能であると考えられる.