日本地理学会発表要旨集
2020年度日本地理学会春季学術大会
セッションID: P197
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発表要旨
GNSSと航空レーザ測量データを用いた河川敷の標高変化計測
- 2019年台風19号通過後の多摩川中流域 -
*吉岡 美紀澤柿 教伸
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抄録

2019年10月12日に関東地方に上陸、通過した台風19号の降水により、多摩川の水位はデータのあるほとんどの地点でそれまでの既往最高水位を上回った。台風による増水がひいた後に、変化した河川敷を見て、どの程度、堆積あるいは浸食したのか興味を持ち、計測、調査をした。対象地域は多摩川中流域、東京都羽村市の玉川上水取水堰付近の河川敷で、植物が茂っていた部分の広範囲が、台風後には砂礫堆積物におおわれた。台風後の計測は、GNSS受信機(GeosurfのSP60)を使用して標高と緯度経度データを入手した。台風前のデータについて、なるべく同程度の精度のよいデータを探した。国土地理院がホームページで公開している「地理院地図」では、画面左下にmで小数点1桁までの標高が表示される。データソースがDEM5Aであれば、標高精度は0.3m以内と表示されているが、注に「0.3m以内という値は地表面測定値がある標高点に限る」とある。国土地理院ホームページにある「航空レーザ測量による数値標高モデル(DEM)作成マニュアル(案)」によると、地表面測定値がない場合の精度は2.0m以内であり、精度0.3m以内との差が大きい。「地表面測定値がある標高点」がどの位置にあるのかの情報は地理院地図上では入手できないため、地理院地図用に編集される前の、航空レーザ測量で計測された元のデータにあたることになる。

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