日本地理学会発表要旨集
2021年度日本地理学会秋季学術大会
セッションID: 209
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発表要旨
災害履歴情報と地形特性情報を用いた自然災害リスク発信の工夫
*栗栖 悠貴黒木 貴一
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抄録

我々は,自然災害が発生すると,応急復旧や事後の防災計画の見直しに必要な被害箇所に関する地理空間情報(以下,「災害履歴情報」)を記録してきた.一方,自然災害の種類によっては発生しやすい場所で繰り返し発生し,その痕跡は地形に刻まれている.国土地理院は,地形に刻まれた災害の記録を地形分類という観点で読み解き,自然災害の危険性を伝える地理空間情報として地域の地形特性を示す鍵として発信してきた.しかし,地形分類の情報は専門性が高く危険性を実感しにくいため,十分に伝わりにくいという課題があった.そこで,国土地理院では,地域住民の防災意識を高め地域全体の防災力向上を支援するためには,地域に潜在する自然災害リスクを住民が直感的に把握できることが重要であるという認識に立ち,災害履歴情報と地形特性情報(土地の成り立ちや起伏を示す地理空間情報)を用いて自然災害リスクを分かりやすく直感的に伝える工夫を検討した.本研究では,国土地理院が整備するウェブページである地理教育の道具箱(https://www.gsi.go.jp/CHIRIKYOUIKU/index.html)から2021年5月に公開したコンテンツ「イラストで学ぶ過去の災害と地形〜水害編〜」において地域の持つ自然災害リスクを分かりやすく伝えるため工夫した点を紹介する.

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