本研究の目的は,希薄化した伝統的な食文化の例として,香川の伝統料理「押し抜き寿司」を取り上げ,瀬戸内海食の枠組みで新しい要素を加えて作り出したNEO伝統料理「さぬきOSHINUKI寿司」を実際にワークショップなどで体験させることにより,次世代に受け継がれる伝統料理の在り方について考察するものである.
なお,NEO伝統料理「さぬきOSHINUKI寿司」とは,炭水化物過多に抵抗感を持つ現代人の嗜好に合わせた分量と栄養バランス,そして,インスタ映えするデザインの2点に配慮し,従来型の押し抜き寿司から,次の4点の改良を加えたものである.①押し抜き木型を小さな丸型に変更する.②酢飯に使用する砂糖半量を希少糖含有シロップに置き換える.③伝統的な押し抜き寿司には使用していなかった食材(野菜,果物,肉)を使用する.④オリーブオイルをかけて食べる.