主催: 公益社団法人 日本地理学会
会議名: 2022年度日本地理学会秋季学術大会
開催日: 2022/09/23 - 2022/09/25
本研究では、農林水産省による食育推進計画の分類と財政力指数や完全給食実施率などで示される地域の食問題の実情を比較することで、食育推進上の課題を明らかにする。 食育基本法はBSE問題に端を発し、現在では生活習慣の改善や農林水産業の活性化など様々な食の問題の解決を図るものとなっている。しかしながら、すべての地域で食育基本法が扱う広範な問題意識が当てはまるかといえばそうではない。地域の産業基盤や医療基盤、学校などの地域の実情に応じて、地域の食問題は異なり、それに基づいた地域ごとの食育推進が望まれる。本論では農林水産省は都道府県・市町村食育推進計画の位置づけを基に分類を行っている。以下、これら自治体の食育推進計画の区分と地域の産業基盤や財政力指数、高齢化率といった地域の実情を具体的に比較する。 結果として、都道府県及び市町村食育推進計画の位置づけは必ずしも地域の実情と関連していないことが明らかになった。食育は政策であるがゆえに、それは問題解決手段でなければならない。地域の実情に応じた食育推進計画の作成が望まれる。また、都道府県と市町村の間では食育推進の姿勢が異なっている。都道府県と市町村間で重視する食問題は異なる場合がある。両者の効果的な関係を検討する必要がある。