日本地理学会発表要旨集
2022年度日本地理学会春季学術大会
セッションID: 504
会議情報

プルーム型都市ヒートアイランドは強制振動加熱による共振か?
*中川 清隆渡来 靖
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

中川・渡来(2021)はSummers(1964)モデルを拡張し,定常状態における都市混合層高度 の自乗 の支配則を提唱した.卓越風に沿ってx軸を設定し,風上側市街地端を原点x=0とし, 正のx領域に無限に定熱源 を分布させた場合,上式の解はフェッチ 増加とともに新しい市街地の定常境界層高度に漸近するとともにフェッチ の最初の部分に過渡現象が出現して境界層高度のピークが出現するものの,明瞭なドーム状乃至はプルーム状の構造は出現しなかった.そこで本研究は,上式における無限定熱源分布を有限熱源分布に置き換え,正のx領域における都市混合層高度 について検討した.

 無限定熱源分布を有限熱源分布に置き換えた場合の解は,微分変数xをtに変更すると強制振動方程式と同型となるので,プルーム型都市ヒートアイランドは強制振動加熱による共振である可能性が示唆される. 力学的振動系の共振は十分時間が経過して過渡項が消滅した後の状況を論じるので定常項のみ議論するが,プルーム型都市境界層の場合は風上側市街地端から流入した郊外気塊が風下側市街地端から流出するまでの比較的狭い空間における定常項と過渡項の干渉波の共振の議論が必須となる.この観点は既存の都市気候学には未見である.

 

 

著者関連情報
© 2022 公益社団法人 日本地理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top