日本地理学会発表要旨集
2022年度日本地理学会春季学術大会
セッションID: 305
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森林資源の利活用の変遷と地域特性に関する研究~東北地方を事例として~
*海邉 健二
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抄録

日本は国土の約70%を森林に覆われており、主な森林資源である木質バイオマスは豊富に賦存し、全国各地で利用可能な資源として、古くからマテリアル(用材)やエネルギー資源として広く利用されてきた。用材利用に関し、かつては住居等において丸太柱としての需要が多かったが、近年は生活様式の変化や建築技術の進展に伴い、集成材や合板材の需要が増加している。またエネルギー利用に関し、古くは薪炭として利用していた。エネルギー革命に伴う利用の激減を経て、近年、再びカーボンニュートラルなエネルギー資源として再び注目が高まっている。特に2012年に導入された再生可能エネルギーの固定価格買取制度に伴い、木質チップや木質ペレット等の需要が急増している。このように木質バイオマスの利活用に関する環境が大きく変化する中で、それらを供給する林業生産・供給のあり方も大きく変化している。 本研究では、木質バイオマスの生産コストや施業体系が平均的な東北地方(浅田ほか 2017)を対象として、政府統計等を用いて、①木質バイオマスの資源量、マテリアル利用、エネルギーの3つの観点から、森林資源の利活用に関する現状分析と時系列的な変遷を捉え、②各年代における分析と時系列や地域間の比較によって地域特性を定量的に明らかにすることを目的とする。本発表では、その分析結果について報告を行う。

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