主催: 公益社団法人 日本地理学会
会議名: 2023年度日本地理学会春季学術大会
開催日: 2023/03/25 - 2023/03/27
アニメーション産業は「働き方改革」によって産業構造規模での変化が見られている.東京における産業集積内では大きな変化を求められ,地方への進出も増加傾向にある.本稿では,こういった状況下にあるアニメーション産業集積の動向に関して,集積内部の外部経済や外部不経済の面から考えていきたい.本研究では聞き取り調査及び報告書類を用いて検討・整理を行った.
結果を端的に述べると,外部不経済が進みつつあることがわかった.アニメーターが集積内の柔軟な専門家として流動的に業務を行っているが,勤務時間や報酬に問題があった.これらの改善が求められ,アニメーターの社員化や深夜業務の停止が行われているが,制作会社にとっては固定費の増加になり,負担が生まれている.また,人材不足の解消や人材育成のジレンマを乗り越えるために賃金が上昇し,経営面でも悪化傾向にある.その結果,デジタル化の助力もあり,地方への制作拠点の移転などが起きている.