日本地理学会発表要旨集
2023年度日本地理学会春季学術大会
セッションID: 447
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地理総合を意識した中学校地理的分野の指導実践
*青木 邦勲
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キーワード: 地図帳, 空間把握, 教材, 授業
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抄録

1.はじめに

 卜部(2021)では,地理を教える教員に基本的な概念が欠落していないかを確認したり,研鑽を深める努力が必要であることが指摘され,全くその通りであると感じた.

 今年度から始まった地理総合では,教科書を読み込むと中学校の知識がすでに理解できている前提で書かれていることに気が付く.そこで,中学校の地理的分野については,年間の授業計画や授業そのものを再検討が必要であると考えた.そこで,地理総合を見据えた中学校の地理的分野の授業について再検討した上で実践したことを報告する.

2.地理総合の現状

 初回の授業で地図を見る確認を行ったのであるが,世界全図において方角,大陸の名前,地域区分が分からない生徒が続出した.現在も,この生徒達は地図帳を開けて場所の確認をすると周囲の助けを必要とすることが多い.そのため,授業でも試験でも「地図で表現する」ことを最大のテーマとして取り組んでいる.このような出題の仕方(分布図など地図での出題)をすると正解率が低下するほか,さらに,歴史総合の理解も苦労していることが分かってきた.地理総合での理解だけでなく歴史総合との接点や内容の理解の方向も地図で示す必要が出てきていると実感する.

3.中学生の地理的分野の実践報告

 以上のことから,中学校1年生においては,毎時間地図帳が開いており,「どこの話をしているのか?」ということを強く意識させた.そして,最終的には「地図でまとめる」ことをさせており,定期試験は地図を多用して出題している.現在のところは,地図帳に掲載されている分布図や統計地図も抵抗なく読み取れている.

(1)使用教材

 育伸社が発行している『sirius21(ノート)』に問題2種類を加えた特注教材を使用している.自宅学習の際に何を理解する必要があるのか?が一目でわかり,地図でまとめるだけでなく,文章で解答したり様々な問題を解くことで達成感を得られるようにしている.

(2)chromebookでのまとめ

 自分たちで地図を意識してまとめたものを発表することにも取り組んでみた.その成果も発表する.

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