日本地理学会発表要旨集
2023年度日本地理学会春季学術大会
セッションID: 148
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北海道礼文島におけるお花畑の植生分布と立地環境
*立石 和奏
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抄録

礼文島に分布するお花畑(高山植物群落)の植生分布と立地環境について,自然要因および人為的要因の両側面から検討した.衛星画像と現地調査により,お花畑の分布域,植物群落,6月の開花種を調べた.自然要因として,気象庁気象観測データおよび現地調査により,気温,降水量,湿度,消雪時期,風速・風向,日射量,標高,地形,斜面方位,土壌硬度,地質を調査した.人為的要因として,土地利用および観光業ならびに保全活動を,文献調査と聞き取り調査により検討した.西海岸一帯の極めて急峻な海蝕崖と北部・南部の小規模な丘陵性高地において,冬季の西南西の季節風と地形の複合的作用により山頂現象が生じ,冷温帯・山地帯の温度気候下でお花畑が成立する.海蝕崖や丘陵性高地の山頂部や尾根筋には岩地・風衝地型のお花畑,すなわち乾性お花畑が分布している.一方,やや平坦な地形や谷地形には亜高山高茎草原,すなわち湿性お花畑が分布している.これらのお花畑は,海産物の狩猟採集を特徴とする歴史文化2000年代の保全活動により自然植生が保たれている.

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