日本地理学会発表要旨集
2023年度日本地理学会春季学術大会
セッションID: S102
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地誌学習の特徴と次期改訂に向けたアイデア
*池 俊介
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抄録

現行の学習指導要領では地誌学習に動態地誌的な手法が導入され、地誌的知識の獲得とともに地域的特色を把握する方法の習得が重視されている。知識だけでなく資質・能力が重視されている点は評価できるが、地誌学習の具体的な内容については課題も多い。地域的特色を把握するためには、事実認識のレベルを超えて事象どうしの結び付きを見出す関係認識、さらには全体としての地域的特色を的確にとらえる全体認識を育成する必要がある。地誌学習で取り上げられる日本・世界の諸地域の中には、事象どうしの結び付きを見出しやすく地域的特色の把握が比較的容易な地域があるが、その一方で地域的特色の把握が難しい地域も実際には存在する。そのため、地域区分や学習地域の配列について地域的特色を把握する上での難易度の視点から再検討する必要がある。また、学習する知識の質についても、事実的知識だけでなく概念的知識や手続的知識などの習得に結びつく内容であるかどうかを丁寧に検討してゆく必要がある。今後は、こうした地誌学習の基本的な課題について議論を進めることが重要となろう。

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