日本地理学会発表要旨集
2024年日本地理学会春季学術大会
セッションID: 732
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令和6年能登半島地震による新潟市西区信濃川旧河道における液状化の発生状況
*青山 雅史
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抄録

2024年1月1日に発生した能登半島地震により,信濃川下流左岸の新潟市西区黒埼地区および右岸の江南区曽野木地区において液状化が発生したことを,現地調査により確認した。現地調査は,2024年1月6日,7日および11日,12日に行い,道路上や道路沿いの農地,空地などにおける噴砂の確認,マッピングをおもに行った。噴砂はその地点における液状化発生を示す指標となるため,噴砂発生地点の分布から液状化発生域を概略的に把握することができる。噴砂は,信濃川左岸の新潟市西区黒埼地区(ときめき西,山田,立仏,善久,鳥原)および右岸の同市江南区曽野木地区(天野)において,その発生が確認された。黒埼地区では,おおまかにみると南北方向に帯状に細長くのびる領域内において噴砂が発生し,曽野木地区では,東西方向に細長くのび,三日月状に湾曲した領域内において噴砂が発生していた。それらの地域では,戸建住宅の不同沈下,宅地地盤の沈下や傾斜といった変状,道路の変状に伴う路面損傷,ブロック塀や電柱の沈下などの被害が生じていたことが,現地での目視により確認された。GISで液状化(噴砂)発生地点を治水地形分類図に重ね合わせることにより,液状化発生域の地形条件を検討した結果,液状化(噴砂)の多くは,信濃川左岸側の黒埼地区と右岸側の曽野木地区ともに信濃川の明瞭な旧河道(旧河道上に造成された住宅地)で集中的に発生していた。調査地域南部の鳥原地区では,それらに加えてその旧河道に沿って分布する自然堤防(自然堤防上に造成された住宅地)においても噴砂が多く発生していたが,その他の地区では自然堤防上に造成された住宅地における噴砂の発生は少なかった。

この地域においては,国交省北陸地方整備局と地盤工学会北陸支部が2012年に作成した「液状化しやすさマップ」が公開されている。本地震で発生したこの地域の液状化の多くは,このマップにおいて液状化の可能性が高い「液状化危険度4」や液状化の可能性がある「液状化危険度3(盛土造成地)」と区分されている領域で発生した。若松(2011)が示した液状化履歴マップによると,本地震におけるこの地区の液状化発生域では,1964年新潟地震においても液状化が発生していたことが示されている。

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