主催: 公益社団法人 日本地理学会
会議名: 2025年日本地理学会秋季学術大会
開催日: 2025/09/20 - 2025/09/22
高梁盆地は,岡山県の中西部,岡山市から北西へ30㎞ほどに位置しており,東西1km,南北2㎞の広さを有している.また,盆地内では秋から冬の好天静穏日の早朝に雲海が発生しやすい.大規模な雲海が発生した場合には,雲の上に浮かぶ備中松山城(天空の城)を望むことができ,重要な観光資源の一つとなっている.本研究では,高梁盆地および周辺地域において広範囲かつ細密な気象観測をおこない,霧の動態について把握した.さらに,高梁市内の展望台2地点に定点カメラを設置し,高梁盆地で形成される霧(雲海)の発生頻度と消散時刻の特徴について明らかにした. 研究対象地域は,盆地内だけでなく谷筋から発生する霧の移流についても把握するため,高梁盆地周辺を含む15地点で地上気象観測をおこなった.対象期間は,霧の発生頻度が高くなる秋から翌年の春を想定し,2020年11月から翌年の5月までとした. その結果,霧の発生頻度は11~12月にかけて非常に多く,特に11月は約70%の発生確率であった.一方,霧の消散時刻の平均は9:50であったが,晩秋になるにつれてその時刻は遅くなる傾向であった.これは,日の出からの日射エネルギーが徐々に小さくなることに起因する.そのため,晩秋ほど日常生活に与える影響はより大きくなる.