2019 年 11 巻 3 号 p. 181-186
平成30(2018)年,保険病名として口腔機能低下症が採用されてオーラルフレイルに関心が高まった.臨床現場では高齢化のはじまった1980 年頃から,老化とともに口腔機能の低下により教科書どおりにはいかない補綴の症例はみられた.汚れすぎた口腔内と汚れた義歯,口が乾き義歯を装着しにくい,噛む力が弱った,舌の動きが悪くなった,飲み込みが下手になったなど,いずれも今回の口腔機能低下症の兆候そのものである.これらの当時,教科書には書いてない患者さんの受療条件の変化に,臨床現場でいかに対応しようとして来たか,特にデンチャープラークコントロール,ソフトリライン,義歯と慣れについて,そして今後もいかに対処すべきかについて述べる.