日本補綴歯科学会誌
Online ISSN : 1883-6860
Print ISSN : 1883-4426
最新号
平成31年1月
選択された号の論文の14件中1~14を表示しています
巻頭言
依頼論文
◆企画:エビデンス&オピニオン 第4回
  • 早川 巖
    2019 年 11 巻 1 号 p. 5-13
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/01/26
    ジャーナル 認証あり

     義歯は口腔内で用いられるものであるから,義歯の置かれている状況に注目し,周囲組織との調和に注意を払い,機能的な配列位置が設定されなければならない.天然歯が元あった位置に人工歯が配列されれば,頰側および舌側からの筋圧のバランスも継続され,義歯が安定することになる.患者にとっても,天然歯のあった位置に人工歯が配列されれば,その位置に対しての舌や頰の感覚は有歯時とあまり変わらず慣れやすい.本稿では,歯槽頂を基準にした力学的な配列よりも天然歯列に準じた人工歯配列がなぜ機能的に優れているかを解説し,併せてその位置の捜し方について述べた.

◆企画:シリーズ/補綴医に贈る再生医療の話 第4回
  • 魚島 勝美, 加来 賢, 長澤 麻沙子
    2019 年 11 巻 1 号 p. 14-19
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/01/26
    ジャーナル 認証あり

     補綴治療と力のコントロールは切っても切れない関係にある.意識するしないにかかわらず,補綴治療に伴って起こる可能性のある生物学的変化は,治療の予後に大きく影響する.ところが,力による骨吸収や骨添加の可能性とその生物学的背景,歯根膜の恒常性維持や再生と力との関係についてはその詳細が明確になっていない.本稿では,現状で解明されているこれら基礎的背景を簡単に紹介する.骨の再生と力の項では,両者の密接な関係を疑わせる臨床的所見を文献と共にいくつか紹介する.歯根膜の再生と力の項では,歯根膜組織構成要素の特異性と臨床的な意義を文献と共に紹介する.以って,将来の補綴治療成績向上に資することを期待したい.

◆企画:東京支部特別セミナー「補綴のプロフェッショナル −部分床義歯治療−」
  • 石上 友彦
    2019 年 11 巻 1 号 p. 20-25
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/01/26
    ジャーナル 認証あり

     種々異なる義歯装着後の口腔内ですが,大切なのは義歯の安定と残存歯の保全と咬合のバランスが義歯装着当初を維持し続けるように口腔内の管理を行う事です.義歯の支持力,咀嚼に対する把持力そして義歯全体としての維持力のバランス,さらに,患者さんの義歯に対する要求度の違い,患者さんと歯科医師の人間関係等,種々の関係が相乗的に義歯の術後経過に影響を与えます.つまり,これら種々の関係に統合した補綴歯科治療が患者さんの生涯の伴侶として望まれます.そして,どのような治療を行うにしても種々のバランスを考えた口腔内管理が必要不可欠です.

◆企画:東京支部特別セミナー「補綴のプロフェッショナル −顎顔面補綴治療−」
  • 谷口 尚
    2019 年 11 巻 1 号 p. 26-31
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/01/26
    ジャーナル 認証あり

     ひとびとと会い,食事をし,会話することは人の当然の権利である.しかし,口蓋裂,腫瘍,外傷などが原因で生じた顎顔面補綴患者の咀嚼・嚥下・スピーチ・審美性の障害は,一般補綴患者に比べ重篤である.これは原疾患,欠損形態の多様性に因る.これらの障害は相互に影響しながら後遺し,精神心理的苦痛を惹起する.顎顔面補綴の最終目的は患者を元の生活に戻すことであるが,この実現は困難である.治療効果を最大限に引き出し,長期保持するには,医科,歯科の有機的連携が術前・術中・術後の各段階で必須であり,基本的事項の相互認識の共有と情報交換が必要となる.顎顔面補綴治療での医科と歯科のコラボレーションの現状について述べる.

◆企画:第127回学術大会の臨床リレーセッション2 「有床義歯の臨床を深める」「患者ニーズと口腔状態から考えるノンメタルクラスプデンチャーの臨床選択」
  • 谷田部 優
    2019 年 11 巻 1 号 p. 32-37
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/01/26
    ジャーナル 認証あり

     近年,部分床義歯による欠損補綴においても審美性への配慮が大切になっており,ノンメタルクラスプデンチャーを目にする機会も増えてきた.日本補綴歯科学会は,ポジションペーパーでノンメタルクラスプデンチャーを製作する際の臨床指針を示しているが,未だに不明な点も多く,装着後の対応に苦慮する場合も少なくない.本稿では,ノンメタルクラスプデンチャーで用いられる材料を整理し,レジンクラスプが歯周組織に与える影響,維持機構や審美性への配慮について,現時点でのエビデンスと見解を整理する.また,基本的な設計例を通して臨床上注意すべき点について述べる.

◆企画:第127 回学術大会の委員会セミナー3 「地域包括ケアシステムにおける医療・介護・福祉の連携の課題と展望」
原著論文
  • 末瀬 一彦, 橘高 又八郎, 辻 功, 澤村 直明
    2019 年 11 巻 1 号 p. 45-55
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/01/26
    ジャーナル 認証あり

    目的:平成26年4月にCAD/CAM冠が先進医療として医療保険に導入され,平成28年9月には全国の歯科診療所の59.0%が施設基準の届け出を提出するようになった.そこで,CAD/CAM冠を成功させ,大臼歯や前歯部への適用拡大を図る目的で,CAD/CAM冠の使用状況ならびに予後について広範囲の調査を行った.

    方法:全国の歯科診療所を対象にCAD/CAM冠に対するアンケート調査を実施した.調査の回収にあたっては歯科技工所の協力を得て,全国約2,000カ所の歯科診療所を対象に調査を実施した.調査内容は,CAD/CAM冠適用の実態,CAD/CAM冠の脱離と破折,CAD/CAM冠の将来展望,患者評価などである.

    結果:CAD/CAM冠の脱離率は8.0%で,前回調査よりわずかに減少し,脱離までの期間は,装着後2週間以内,また破折率は4.3%を占め,前回調査よりわずかに増加した.破折までの期間は2週間以降1カ月以内が多かった.装着前の前処理としてプライマー処理は88.5%の歯科医師が行っていたが,サンドブラスト処理は38.9%であった.また脱離に関しては使用したレジンブロックおよび接着性レジンセメントの種類において有意差は認められなかった.さらに患者評価は極めて高く,98.9%が満足している回答であった.

    結論:医療保険におけるCAD/CAM冠の適用頻度は増加しているが,今後さらに大臼歯部や前歯部への適用拡大においては材料強度,色調再現性を高めるとともに,脱離や破折に対する配慮は極めて重要である.

専門医症例報告
  • 高岡 亮太
    2019 年 11 巻 1 号 p. 56-59
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/01/26
    ジャーナル 認証あり

    症例の概要:患者は70歳代の男性.上顎全部床義歯の脱落による咀嚼障害を主訴に来院した.上顎義歯人工歯および下顎残存歯には,過大な咬合力に起因すると考えられる過度な咬耗が認められた.下顎臼歯部には全部金属冠を,上顎全部床義歯には硬質レジン歯を使用し,全顎的な補綴歯科治療を行った.

    考察:上下顎に対し意図的に耐摩耗性の異なる歯科材料を用いて上顎義歯人工歯の咬耗を許容することにより,咬合力の分散が可能となり,上顎顎堤吸収の抑制および下顎残存歯の保存が実現できたと推察される.

    結論:咬耗の進行が著しい患者に対し,修理が容易な義歯人工歯の咬耗を許容することにより,顎口腔機能の維持安定を達成することができた.

  • 大貫 佳鼓
    2019 年 11 巻 1 号 p. 60-63
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/01/26
    ジャーナル 認証あり

    症例の概要:患者は初診時41歳女性で,左側舌口底癌に対する部分切除術および軟組織再建術施行後,下顎左側臼歯部欠損による咀嚼機能の改善を目的に紹介された.自家骨移植による顎骨再建,インプラント埋入,舌機能訓練,補綴装置形態の最適化等を包括的かつ段階的に行い,最終補綴装置としてスクリュー固定式のインプラント補綴装置を製作し,咀嚼機能の回復を行うことができた.

    考察:本症例のように広範な顎骨欠損や舌機能障害を伴う欠損補綴治療では,専門各分野が包括的対応を行うことにより,咀嚼機能の回復が実現できると考えられる.

    結論:部分切除術後の患者に対するインプラント補綴治療を行う上で医療連携の重要性が示唆された.

  • 吉川 峰加
    2019 年 11 巻 1 号 p. 64-67
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/01/26
    ジャーナル 認証あり

    症例の概要:患者は60歳男性.右口腔底癌(扁平上皮癌,T2N0M0)に対して右口腔底癌辺縁切除術,両側頸部郭清術,下顎骨プレート再建術ならびに左前腕遊離皮弁術を施行された.術後より咀嚼困難に加えて,発語困難感や審美不良,口唇閉鎖困難による流涎を認めた.左右大臼歯部へインプラントを埋入し,オーバーデンチャーを装着することで摂食機能の改善を図った.

    考察:義歯装着により,審美・構音機能に比べて,とくに左右大臼歯部での咀嚼機能に改善が認められた.|5は義歯装着後約8カ月に自然脱落したが,増歯・修理にて義歯を継続使用できている.

    結論:インプラントオーバーデンチャーの装着により,摂食機能が改善された.

  • 村上 奈津子
    2019 年 11 巻 1 号 p. 68-71
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/01/26
    ジャーナル 認証あり

    症例の概要:46歳男性.下顎臼歯部と上顎前歯部のブリッジ脱離による咀嚼困難および審美不良を主訴に来院した.多数歯に及ぶ失活歯,二次う蝕,太いポストによる負担能力の低下した支台歯に対し,過大な咬合力に対する歯根破折のリスクを考慮した結果,選択的に根面板を用いた部分床義歯を製作した.

    考察:支台歯の負担能力を考慮した部分床義歯の装着により,残存歯の過重負担が改善し,咀嚼能力の改善と患者の高い満足度を得る事ができた.

    結論:過大な咬合力を有する患者への,負担能力が低下した残存歯への対策として,根面板を用いた部分床義歯による補綴治療を行うことで良好な結果を得ることができた.

  • 菅波 透
    2019 年 11 巻 1 号 p. 72-75
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/01/26
    ジャーナル 認証あり

    症例の概要:患者は,80歳の男性で,上顎全部床義歯による咀嚼困難を主訴に来院した.上顎顎堤には前歯部から左右小臼歯部に及ぶフラビーガムならびに著明な骨吸収を認め,検査の結果,上顎全部床義歯の適合ならびに咬合関係の不良に起因する咀嚼障害と診断した.選択的加圧印象ならびに交叉咬合排列を行い,上顎全部床義歯を製作した.

    考察:選択的加圧印象ならびに交叉咬合排列を行うことで,義歯の適合ならびに咀嚼時の力学的安定性が向上し,良好な結果に繋がったと考えられる.

    結論:高度な顎堤吸収とフラビーガムを伴う本症例において,選択的加圧印象ならびに交叉咬合排列が有効であったと考えられる.

  • 河野 稔広
    2019 年 11 巻 1 号 p. 76-79
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/01/26
    ジャーナル 認証あり

    症例の概要:患者は76歳女性,上顎全部床義歯の維持不良,下顎部分床義歯のクラスプに対する審美障害,および硬固物に対する咀嚼困難を主訴に来院した.最終補綴を磁性アタッチメントを用いたオーバーデンチャーとすることで良好な結果を得ることができた.

    考察:下顎部分床義歯のクラスプに対する審美障害のある症例において磁性アタッチメントを用いたオーバーデンチャーの適用は審美性の改善に加え義歯の維持安定ならびに患者のQOLの改善に有効であると考えられる.

    結論:下顎前歯部のみが残存する症例において,オーバーデンチャーを適用することは有効である.

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