2022 年 14 巻 4 号 p. 373-378
目的:全部床義歯のろう義歯試適において,遠隔の歯科技工士との診療がオンラインにより効果的に行われるかについて,客観的評価とともに検討することを目的とした.
材料と方法:補綴歯科専門医が上顎全部床ろう義歯の試適を,遠隔の歯科技工士とオンラインを介して情報交換しながら行った.後日,別の2名の補綴歯科専門医と補綴歯科認定医が動画のデジタル画像データを観察し,オンラインによるろう義歯試適が可能であるのかどうかについて評価した.
考察:画像の画素数の制限からシェードの測定は困難と評価されたが,リップサポート,スマイルライン,モールドおよび発音の評価は十分可能と判断された.シェード選択の際は口腔内写真撮影を併用した方が良いが,ろう義歯試適をオンラインによって遠隔の歯科技工士の立ち会いの下で行うことは可能であると示唆された.
結論:全部床義歯のろう義歯試適におけるオンライン診療による歯科技工士の立ち会いは十分に可能であることが示唆された.