抄録
目的:本研究では,作業用模型の条件として,成型器上での作業用模型の位置,温度,角度および,マウスガードシートの温度が,マウスガード前歯部および臼歯部の厚さに及ぼす影響について検討することを目的とした.
方法:材料はマウスガードシート(厚さ3.8 mm)を使用した.シートの成形は,吸引型成型器を用いて行い,シートが1.5 cm 垂れ下がったところで吸引圧接した.厚さの測定は前歯部と臼歯部で行った.作業用模型の条件として,計測部位と位置と温度および計測部位と位置と角度について,三元配置分散分析により検討を行った.マウスガードシートの条件として,計測部位と温度について二元配置分散分析により検討した.
結果:作業用模型の位置では,前歯部におけるマウスガードの厚さは,作業用模型を成形器上の後方に設置した条件で大きくなり,臼歯部においては,作業用模型を成形器上の中央に設置した条件で大きくなった.作業用模型の角度では,前歯部および臼歯部におけるマウスガードの厚さは,作業用模型の角度条件を80°にしたときに大きくなった.マウスガードシートの温度条件は,温度が高いほうが前歯部の厚さが大きくなった.
結論:本研究の結果から,作業用模型の位置は厚さを確保したい部分を中央に置き,角度は80°にすること,またマウスガードシートの温度を高くすることがマウスガードの厚さを確保するうえで有効であることが明らかとなった.