抄録
日本補綴歯科学会は,2010年の米国歯科研究学会による顎関節症(TMD)基本声明を,ホームページおよび学会誌に掲載した.その声明は,TMDの治療法の第一選択として保存的で可逆的かつ証拠に基づく治療法を強く薦めている.そこで今回,Carlsson教授に,TMDと咬合に関連する問題点を提起し,1)歯科医師がまだ TMDの原因として咬合を信じていることをどう考えるかという質問に対して,より良質な情報を提供する必要がある,2)スプリント治療をどう考えるかという質問に対しては,効果的であるが常に必要であるとは限らない,3)TMD症状が消失した後に残存する咬合不調和に対する補綴的介入の是非に関しては,咬合状態を改善するためには当然必要である,という回答を得た.