日本補綴歯科学会誌
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原著論文
吸引成形後マウスガードの厚さに関する研究─シートの材質による違い─
高橋 睦小出 馨水橋 史
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2011 年 3 巻 4 号 p. 346-352

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抄録
目的:マウスガード装着による外傷予防効果は,マウスガードの材質や厚さに大きく依存する.本研究では,シートの材質による成形後マウスガードシート各部の厚さの違いについて検討を行った.
方法:マウスガードシートは,エチレン酢酸ビニル樹脂,オレフィン系エラストマー,およびポリオレフィン・ポリスチレン共重合体の3種類の材質のシートを使用した.このシートに10 mm四方の格子を記入し,測定部とした.厚さの測定は,各格子の厚さをメジャリングディバイスを用いて計測した.作業用模型は,上顎中切歯切縁で20 mm,上顎第一大臼歯近心頬側咬頭で15 mmの高さにトリミングしたものを使用した.成形には吸引型成形器を用い,シート中央部が基底面から15 mm降下した時点で吸引圧接した.シートの材質による成形後のシート各部の厚さの変化率の違いを,一元配置分散分析後,Tukey法を用いて多重比較法による検定を行った.
結果:成形後マウスガードシートの厚さは,前歯部,口蓋部および臼歯部においてオレフィン系エラストマーシートが最も薄くなり,ポリオレフィン・ポリスチレン共重合体シートが最も厚くなった.
結論:吸引成形後マウスガードの厚さはシートの材質によって異なり,ポリオレフィン・ポリスチレン共重合体シートが最も厚さを確保できることが明らかとなった.
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© 2011 社団法人日本補綴歯科学会
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