2013 年 5 巻 1 号 p. 92-95
症例の概要:患者は初診時77歳男性で,主訴は下顎全部床義歯の動揺および咀嚼困難であった.下顎の顎堤の吸収が著しいため,既製トレーでは印象域を十分被覆できないと判断した.そこで,既製トレーにて得られた模型上で製作したトレーを用いて再度概形印象後トレーを再製作し,最終印象を行った.
考察:複数回の概形印象後,適切な個人トレーを製作し,最終印象を行い,旧義歯に比べ十分な床面積を確保したことと,PMPレコーダを用いて快適咬合域の範囲内で義歯の咬合高径を決定したことにより患者にとって最適な義歯の製作が行えたと考えられる.
結論:印象域および咬合高径に留意して補綴を行うことで,良好な咬合機能の回復が図れた.