2017 年 9 巻 3 号 p. 175-180
口腔腫瘍患者では,腫瘍切除術により口腔内の環境が大きく変化し咀嚼・嚥下などの機能が低下する.そこで,顎顔面補綴治療や摂食嚥下機能療法が行われ,その形態や機能の回復が図られる.効果的な機能回復のために,顎顔面補綴専門医は術前から口腔外科担当医と綿密な連携をとり,腫瘍に対する治療計画を考慮するとともに術後の状況を予想しながら補綴治療を計画し介入を開始している.この顎顔面補綴治療における一連の過程では,計画的に歯科治療や口腔衛生管理・リハビリテーションが行われるべきである.
また,術前からの口腔衛生管理や歯科治療は頭頸部腫瘍患者だけではなく,その他の部位の腫瘍においても,手術後の誤嚥性肺炎や感染症の予防,放射線療法や化学療法時の口腔粘膜炎や口腔内感染症などの対策に有効であると報告されていることから,平成26年度より周術期口腔機能管理が保険収載された.
これらの周術期口腔機能管理や摂食嚥下機能療法においては,各職種との連携が重要であり,適切に文書を用いて情報提供を行うことが必要とされる.また,術前からの介入は,確実な感染管理・効果的なリハビリテーションと機能回復を図ることができ,早期退院・社会復帰のサポートへとつながる.
本稿では,術前から計画的に行う周術期管理や摂食嚥下機能療法の実際や,他職種や他施設との連携のポイントなどについて概説する.また,こういった周術期口腔機能管理や口腔機能改善のための効率的なアプローチや,一般補綴歯科への応用などについて検討する.