1996 年 42 巻 1 号 p. 57-62
市立函館図書館の創設者の岡田健蔵(1883-1944)は,1906年,ローソクの製造をはじめたが,そこで国産原料の使用を思いたった。しかし当時市内には文献の少ないことから図書館の必要性を痛感する。以来図書館ひと筋の人生を歩むことになる。
その岡田にとってもう一つの夢が函館博物館の設立であった。しかし,存外このことは知られていない。図書館と博物館は岡田にとっては一体のものであった。
本稿では岡田の博物館観とかれの主張とを探ってみたい。