図書館学会年報
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42 巻, 1 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
論文
  • 清水 悦子
    原稿種別: 論文
    1996 年 42 巻 1 号 p. 1-14
    発行日: 1996年
    公開日: 2021/11/10
    ジャーナル フリー
     本稿では. ALAのラウンドテープルの一つである「社会的責任ラウンドテーブル(SRRT)」の成立過程および初期の活動について概観し,その意義について考祭する。
     SRRT設立の機運は1967年に始まり,請願書は1968年に提出された。そして1969年に ALAの評議会で承認され,正式に設置された。当初の目的は,ALAを社会的責任に敏感な,すなわち社会問題に対しである見解を示しそれに基づいて行動ができる機関に改革することであった。
     しかし,「ALAの新しい方向に関する行動委員会 (ACONDA)」が最終報告を出した 1970年以降,SRRTはより実践的な活動を行う小規模なタスクフォス(行動部隊)の集まりに,その性格を変えていった。
     当初の目的は達成できなかったものの,SRRTの活動は,社会問題と図書館サービスを結びつけたという意味で,その後1970~80年代のアメリカ図書館界で取り組まれたアウトリーチサービスや多文化サービスに,影響を及ぼしたと言える。
  • 今 まど子
    原稿種別: 論文
    1996 年 42 巻 1 号 p. 15-31
    発行日: 1996年
    公開日: 2021/11/10
    ジャーナル フリー
    Civil Information and Education Section of General Headquarters of the Supreme Commander of the Allied Powers set up twenty three information centers [libraries] for the use of Japanese citizens as part of the occupation program. Each information center had numbers of deposits.
    Results of this study: Of the first 17 information centers,there were 157 deposits included in this article. Many of the deposits were set up,taking over the reading rooms of Local Civil Affairs Teams dissolved. All the materials for the deposits were duplicate books and magazines of the centers. Deposits had their own feature according to the ideas of the directors of the centers. Japanese citizens learned about the inter-library loan system through the deposits and information centers.
  • 薬袋 秀樹
    原稿種別: 論文
    1996 年 42 巻 1 号 p. 32-48
    発行日: 1996年
    公開日: 2021/11/10
    ジャーナル フリー
     日本図書館協会が1980年に制定した「図書館員の倫理綱領」は高く評価されている。しかし,倫理綱領は実際には着実に実行されておらず,また,倫理綱領によって専門職制度の確立が進んでいるとはいえない。本稿では倫理綱領と日本図書館協会図書館員の問題調査研究委員会の解説や報告などの関連文献をもとに倫理綱領の特徴と問題点について考察した。その結果,次のことが明らかになった。
     わが国では,倫理綱領の前提である図書館員の専門性が解明されていないこと,専門性の内容を規定するサービス,職務内符,教育の適切な基準がないこと,日本図書館協会が会員に対して規制力を持たないことから,倫理綱領は抽象的な理念にとどまった。また,倫理綱領の対象をすべての図書館職員に拡大したため,倫理綱領は図書館員の目標の役割を果たすことができなかった。
     この結果,倫理綱領は図書館員の自律の手段として効果を上げることができなかった。今後,現行の倫理綱領を生かして行くためには専門性の確立が必要である。
研究ノート
  • ─BLRDDとCLRに見る─
    柳 与志夫
    原稿種別: 論文
    1996 年 42 巻 1 号 p. 49-56
    発行日: 1996年
    公開日: 2021/11/10
    ジャーナル フリー
     我が国における今後の図書館情報学の研究開発助成の在り方を考える参考とするため,英国図書館研究開発部と米国図書館振興財団を現地で調査する機会を得た。本論では,両機関の研究開発助成活動の歴史,組織の概要,助成の運営方法,対象分野の特徴等を簡単にレヴューし,両機関が図書館情報(学)界において果たした役割を明らかにしようと試みた。その役割は以下の4点にまとめることができる。
    ①図書館情報学の先導的研究の助成と図書館情報学の学門領域形成への寄与
    ②研究機関・研究持の育成への貢献
    ③図書館サーヴィスの改善とその図書館への普及
    ④研究交流の全国的・国際的機会の提供
  • ─函館博物館の設立─
    坂本 龍三
    原稿種別: 論文
    1996 年 42 巻 1 号 p. 57-62
    発行日: 1996年
    公開日: 2021/11/10
    ジャーナル フリー
     市立函館図書館の創設者の岡田健蔵(1883-1944)は,1906年,ローソクの製造をはじめたが,そこで国産原料の使用を思いたった。しかし当時市内には文献の少ないことから図書館の必要性を痛感する。以来図書館ひと筋の人生を歩むことになる。
     その岡田にとってもう一つの夢が函館博物館の設立であった。しかし,存外このことは知られていない。図書館と博物館は岡田にとっては一体のものであった。
     本稿では岡田の博物館観とかれの主張とを探ってみたい。
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