本稿では. ALAのラウンドテープルの一つである「社会的責任ラウンドテーブル(SRRT)」の成立過程および初期の活動について概観し,その意義について考祭する。
SRRT設立の機運は1967年に始まり,請願書は1968年に提出された。そして1969年に ALAの評議会で承認され,正式に設置された。当初の目的は,ALAを社会的責任に敏感な,すなわち社会問題に対しである見解を示しそれに基づいて行動ができる機関に改革することであった。
しかし,「ALAの新しい方向に関する行動委員会 (ACONDA)」が最終報告を出した 1970年以降,SRRTはより実践的な活動を行う小規模なタスクフォス(行動部隊)の集まりに,その性格を変えていった。
当初の目的は達成できなかったものの,SRRTの活動は,社会問題と図書館サービスを結びつけたという意味で,その後1970~80年代のアメリカ図書館界で取り組まれたアウトリーチサービスや多文化サービスに,影響を及ぼしたと言える。
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