1996 年 42 巻 2 号 p. 87-98
これまで,何人かの研究者が,図書館における貸出回数による蔵書の分布のモデル化を試みてきた。しかし,初期時点からある年までの貸出データを累積した場合の分布に関しては,蔵書の廃棄や別置の問題にとって重要であるにもかかわらず,十分に現実に適合したモデルは,これまで得られていなかった。本稿では,Quentin L.Burrellが以前に提案したこの分布のモデルを拡張・一般化することにより,実際のデータにより適合する新たなモデルを提案する。実際にこの修正モデルを,筆者が以前に収集・集計した,ある日本の大学図書館における4年分の貸出データに対してあてはめたところ,十分に満足のいく適合度を示した。