1996 年 42 巻 4 号 p. 181-198
様々な情報が発信される情報化社会では,適切な情報の選択やその効率的な利用に必要とされる思考力の育成が重要な問題となっている。米国の教育界では,思考力の育成や情報の利用に不可欠な能力として,批判的思考(critical thinking)に高い関心が寄せられている。批判的思考の育成は,こうした問題を解決する一つの方法として注目される。しかし,日本の教育では批判的に考えることにあまり関心が寄せられてこなかった。
そこで,批判的思考の意義を考察し,それが情報の評価のスキル(技能)として応用できること,学ぶ力の中核となる能力であることを明らかにし,日本の学校図書館利用教育に批判的思考の概念を取り入れることが情報活用能力の育成に有効であることを示した。