2004 年 1 巻 1 号 p. 45-47
高齢者医療の現場では、患者さんで物忘れや、反応の鈍化、論理的理解の困難状況、新しい知識の理解と適応等において痴呆や知能の低下が来ていることをうかがわせる症例が多い。しかしながらこれ等が年齢相応の変化なのか、脳の障害が進んできたための症状なのかを、経験によって感覚的に理解するのは本人の意思や人権をも考えた場合、あまりよい診断方法ではないと考えられる。そこで登場してきたのが長谷川式知能テストであり、MMSEでもあった。これらも大変優れた方法であるが、本人が知能低下症との診断に拒否的になることもあり、真実を見出せないこともしばしば臨床で起こっていた。そこで我々は、知能検査と抑うつや心の変化に基づく異常等との関係を時計描画検査と、GDSを用いて比較評価を行った。結果: CDの導入は協力的で、実施は簡単、判定は早いが、投薬を受けている場合知能検査と抑うつ度については関連性を見出せないことが判った。