昭和病院雑誌
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やはず苑入苑者の生活の現状と今後の課題
入苑者の主体的行動への支援に向けて
薬師寺 泰裕河野 芳眞藤澤 美香枝
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2007 年 3 巻 2 号 p. 170-179

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抄録

旧やはず園(やはず園)での入所者には、要介護者、精神障害者、認知症、収入のない人々が生活し、在宅での生活が困難、健康上の問題、経済的問題がある為、支援を必要としていた。 また運動をしようとすれば狭い廊下での体操と歩行であった。 「より良く人間らしく生きる」を考えて、生活環境を重視した改築が行われた。吉水卓見理事長・吉水千賀子副理事長は、防府市社会福祉事業団、松浦市長兼理事長からやはず園を引き継ぎ個室を基本とする老人ホーム (やはず苑) へと改築した。 やはず苑入苑4ヶ月目となったので、入居者へのアンケート調査を行い、具体的な支援を企画し、QOLの改善を試みた。 浴室や食堂については、「浴槽が広い」「明るく広い」との意見が大多数を占めた。 スーパーや公民館、消防署、警察署、郵便局等が近くにあり、利便性が向上した。居室にトイレや洗面台を設置した事で、順番待ちによるトラブルが減少した。病院へは職員が送迎を行ない、入苑者の身体的負担が減少し、転倒や交通事故の不安が取り除かれた。また、入居者は掃除や洗濯などの身のまわりの事は自分で行い、また、共有の空間である食堂の掃除、庭の草木の水やりを仕事とする企画で、入苑者の存在感が高まった。 今後も、入苑者と共に行事の企画を行ない、実践的なプログラムを作っていく事、自主的にクラブ活動ができるようにする事、畑や野菜作りができるように環境を整える事などで、入苑者の自立実現を支える予定である。

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© 2007 医療法人茜会・社会福祉法人暁会学術委員会
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